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稲城大橋動物病院長ブログ|稲城大橋動物病院

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2010年6月アーカイブ

オーラルケアセミナー

22日の休診日は、新宿で開催された
「オーラルケア導入セミナー」
に、看護師の祝田さんと一緒に参加してきました。

主催はアニコム・パフェという会社で、動物の健康保険制度を確立した会社の系列会社さんです。
講師は動物歯科学では知らないものはいないほどの有名なF先生でしたが、実は私自身はこの先生のお話を聞かせてもらうのは初めてでした。この先生の奥様が現在は同じ病院で動物看護師として働かれていますが、元々人の歯科衛生士をなさっていたとのことで,ある意味この奥様がいたから先生は歯科を基本から勉強され始めたとのことでした。

犬や猫でも人と同様、オーラルケア(歯磨きなどのお口の管理)はとても重要なことは認識していますが、どのようにして病院からそれを発信していくのか、昨年行われた同セミナーの成果なども報告され、非常に実践的な内容でした。

途中からは獣医師・看護師それぞれに分かれて講義を受け、それぞれの立場でのオーラルケアへの取り組み方などの解説をしていただきました。

また、今回参加してから分かったことですが、主催会社と協賛の会社の協力のもと、我々の病院でのオーラルケア導入のお手伝いをしていただけることになりました。
詳細はこれから検討していきますが、「歯磨き教室」「歯科検診」を組み合わせたものを予定しています。
これについては、秋頃にご案内できると思います。
病院スタッフそろって、いいものを提供できるようこれから検討していきますので、お楽しみに!

今回のセミナー

20日の日曜日は臨時休診を頂き、久しぶりのセミナーに出席してきました。

今回のセミナーは、
「腫瘍性疾患を中心とした細胞診標本の評価・診断の進め方」
でした。基本的なことを講義していただいた後に実際の標本を見ながら、自分なりの評価・診断を進めていきます。
"細胞診"というのは、おもに注射針などを利用して、動物の体の表面やお腹の中にできた"できもの"がどんなものなのかを知るヒントを得るための、負担の少ない検査方法です。

内容的には非常に基本的なものでしたが、これまでほとんど独学でやってきた細胞診の整理とおさらいができました。今年は主に細胞診など病理学に関するセミナーに参加していく予定です。

最近気づくのは、セミナーや学会などの講師が年下の方であることがちょこちょこと見受けられることです。私も来月で、孔子なら"惑わず"といった年齢に届いてしまいますが、まだまだ迷いだらけです。年齢に関係なく、実力・能力のある方にはどんどん教わっていこうと思います。

巨大乳腺腫瘍ー後編

輸血はしたものの、出血は最小限に抑えたいところです。

順調に麻酔を導入し、ガス麻酔で維持します。
当院の看護師の一人は私自身よりこの業界歴は長いベテランで、うちに勤める前の病院では少なく見積もっても3,000件以上の麻酔管理を任されていた人物です。麻酔に関してはその看護師に全幅の信頼を寄せていますので、私自身は執刀に集中します。
大きく皮膚をきるため、体温が下がらないように保温装置も稼働させました。

メスで皮膚の切開を行い、電気メスで小さな出血を止めていきます。
しかし、これだけ大きくなった腫瘍なので予想より手こずります。ある程度皮膚切開したところで足の付け根に近いところの乳腺につながる大きな血管を縛ります。これで大きな出血は防げます。
約1時間ほどで女性の拳ほどの腫瘍が取り除かれました。

後は縫合です。幸い麻酔はとても安定していたので、術後に水がたまったりしないように細かく縫合していきます。

無事に手術が終わり、麻酔からも醒めました。
ふぅぅ。

その夜には少しですが、お肉のゆでたものを食べ、翌日には缶詰を食べ始めました。
経過も順調で3日後に退院となりました。

そして、手術から約2週間後。

nana_post_mini.jpg

ほぼ問題なく抜糸が済みました。
手術前には循環が悪くなり、パンパンにむくんでいた右足も元通りになっていました。

術前のレントゲン検査では明らかな胸への転移などは見られませんでしたが、再発・転移の可能性は十分にあることを改めて飼い主さんにお伝えしました。

それでも、現在は食欲もあって(元々食欲は落ちていなかったのですが)、外にも行きたがるほど元気だそうです。体重も1割弱増えていました。


前回も書きましたが、犬の乳腺腫瘍の発生率は雌犬500匹に1匹。
この発生率が早期に避妊手術をすることでぐっと下がることが知られています。
発情前に手術をすると0.5%、つまり10万匹に1匹という確率まで下がります。
2回目の発情前までに手術をすると約2,000匹に1匹の確率です。

また、犬では乳腺腫瘍が発生すると50%は悪性です。
そういう私自身が乳腺腫瘍からの肺転移で犬を亡くしています。人で言えば
医者の無養生」と言うやつです。

500匹に1匹。これをどうとらえるかは人それぞれでしょう。
ただ、私自身の経験からも、飼った限りは少しでも病気の発生を予防できるのなら、という思いで避妊手術をお薦めする立場を取っています。

巨大乳腺腫瘍ー前編

日々の診察の中でも最も遭遇する機会が多いと思われる腫瘍(いわゆるガン)に、乳腺腫瘍があります。
教科書的には、雌犬10万匹あたり200匹程度、つまり500匹に1匹程度ということになります。
これを当院の来院数に当てはめていくと、およそ一年間に3〜4匹程度はこの病気のために来院してる計算になります。

先日、後ろ足の付け根あたりにできものができていると、連れてこられたのは16歳のおばあちゃんわんこでした。

見ると、こんなに大きな乳腺腫瘍ができていて、出血もしています。
nana_pre1.jpg

このままでは普段の生活に大きな支障を及ぼしますし、すでに貧血がでていました。
体もやせており、16歳という年齢を考えると全身麻酔による手術もリスクがありますが、何もしなければ長くても数ヶ月と判断しました。

そのことをお伝えし、ご家族で検討して頂いた結果、手術を決断されました。

術前の検査で予想以上に貧血していたため、急遽輸血を行うことにしました。
輸血といっても動物の場合、血液バンクなどはありません。なのでご近所で大型犬を飼っている方にお願いしてボランティアとしてご協力していただく必要があります。
幸い、1件目に連絡した方が快諾していただけたため、予定通り手術に臨むことができました。

注意深く麻酔をかけ、準備にかかります。

nana_pre2.jpg

改めてその大きさがお分かりいただけるでしょうか。

乳腺腫瘍の場合、本来は片側を全摘出し、できれば避妊手術を同時に行うのが理想的ですが、今回は貧血もあるため出血させたくないこと、手術時間を極力短くしたいこと、そしてなにより現時点のQOL(生活の質)の向上が第一の目的であることから、大きな腫瘍部分のみをとることにしました。

~後編に続く~

今が見ごろ

kashiwa.jpg

"柏葉紫陽花(かしわばあじさい)"

花のかたちが三角錐のようで、葉っぱがちょうど柏の葉のようになっていることから名付けられたとのことです。
葉っぱも木自体も普通の紫陽花に比べるとおおぶりで迫力があります。

今がちょうど満開の見頃です。
病院の花壇に咲いてます。お近くを通られることがあれば、ぜひ見に来てください。

Before-After

先日、病院内に戸棚を新設しました。
もともと戸棚をつける予定にしていたスペースですが、建設当時は予算圧縮のため中止していました。

開院から4年が経ち、いろんなものの保管スペースが限界に近くなってきたため今回の工事となりました。

これが設置前の状況。

before.JPG

こちらが設置後。

after.JPG

仕上げも既存のものと同じ仕様にあわせてもらったため、全く違和感がありません。

週に二回来ているパートのトリマーさんが、
「あれ?戸棚ってなかったでしたっけ?」
というぐらい。

これでしばらくはスペースが確保できました。

家出猫騒動顛末記

先日、一本の電話がありました。
「うちのLが行方不明になっちゃったよ〜。」

Lちゃんはある施設のゴミ置き場の中で、袋に入れて捨てられていた現在9ヶ月の猫です。
今の飼い主さんに保護され、元気に育っていました。
その子がちょっと飼い主さんが目を離した隙に、マンションのエレベーターに乗り込んで出かけてしまったようです。

この子は普段からまるで犬のようにリードをつけて飼い主さんと一緒にお散歩をしている子でした。だからか、外に出ることには小さい頃から慣れっこで、その様子がかわいいのでご近所でも有名な猫になっていました。

飼い主さんなりに近所を探しまわり、ペット探偵?なるものもお願いし、半日以上探しまわったけれど見つからず半ばあきらめモード。
「とにかくポスターを作って近所にはらせてもらいましょう。」
ということで、病院で迷い猫のポスターを作成。

迷子の猫を探す場合、自宅を中心にして近いところから探していきます。猫はその性質上いきなり遠くまで行ってしまうことはありません。これは代診時代に、ある有名なペット探偵の方に教わりました。

ポスター掲示の翌日。
すぐ近所の自動車工場で従業員さんがこの子と遊んでいたとの情報が。

Lちゃんが飼われているのは4車線の大きな道路沿いのマンションです。とにかく、事故などに遭っていないことがわかり一安心。飼い主さんもあきらめモードから一転、仕事の合間を縫って寝る間も惜しんで探しまわったようです。
飼い主さんは夜勤もある変則なお仕事でした。

行方不明から丸4日たった夜、夜勤をしていた飼い主さんに電話が入ります。
マンションの大家さんからです。
「Lが帰ってきたよ!!エレベータの前に座ってるよ!!」

「ホント〜!!大家さん、合鍵あるでしょ。それでうちに入れてやって!!」

かくして、家出猫のL、5日間の放浪生活を終えて無事帰宅しました。

翌日、帰宅の報告を頂きました。僭越ながら私の一言。
「自分で帰ってくるなんて、○○さん、Lは思ってたより頭が良かったね。」cat

帰ってきて丸一日は死んだように眠っていたそうです。体重も1割近く減っていました。
その翌日、診察に来てもらいましたが、いつもの彼に戻っていました。

あ〜、めでたしめでたし。


lupin.jpg

※実話を元にしていますが、一部独断で脚色しております。