ストップ誤食!

子犬の頃から当院をかかりつけにしてくれているワンコさん。
どうも朝から様子がおかしい、抱こうとすると
「キャン!」
と鳴いたり、どこか痛いのかも?
さっそく診察してみると、普段とは違いお腹に目一杯力を入れていて、触診ができないほど。
他のところもひと通り調べてみて異常がなかったため、レントゲンを撮らせてもらいました。
すると・・・・・
stone.jpg
胃の中になにやら写っています。
飼い主さんにレントゲンを見てもらい、なにか心当たりはあるかたずねると、普段手作りの食事を与えているが、時々「豚足」のぶつ切りを与えているとのこと。
豚足にしてははっきり写っているかなとも思いながら、硬い骨の部分が混じっていたのかも?
ということで、内視鏡による摘出を実施しました。
そして取り出されたのがこちら。
stone_ex.JPG
胃の中にあったのは豚足のかけらではなく、
石!
でした!!
庭に敷いてある敷石らしいということです。
今回のワンコさんは、
1・飼い主さんがいち早くワンコの異常に気づいたこと
2・子犬の頃から病院に来ていたワンコだったため、診察時の様子の異変にすぐ気づけたこと

3・内視鏡により体への負担を最小限に摘出できたこと
など理想的な条件が揃って事なきを得ました。
ちなみにこの子は嘔吐などの症状はなく、よーく観察すると少し吐き気があるのかな??
という程度でした。
石のサイズは長径が3cmほどで、腸に流れてしまうと腸閉塞を起こす可能性が非常に高かったと思われます。
また、レントゲンで見るとやや尖った部分があったため、吐かせる処置は選択しませんでした。
実は、吐かせる処置の時に最も怖いのは
「食道閉塞」「食道損傷」
です。
サイズの大きな物や、鋭利な形のものを吐かせると、食道に詰まったり食道を傷つける可能性があります。
異物誤食で食道に詰まるケースが最も恐ろしいのです。
食道は構造上、非常に治癒能力が低い組織です。
手術手技も胃の切開は比較的安全で難易度の高いものではありませんが、開胸による食道の手術となるとグンと難易度も致死率も高くなってしまいます。
過去に食道にオヤツが詰まってなくなってしまった症例も経験しています。
当院では、
内視鏡
を導入していますので、異物の形状やサイズに問題がなければ短時間で安全に摘出することも可能です。
もちろん、ケースによっては初めから開腹手術を選択するケースもありますが、胃内異物であればかなりの確率で摘出可能です。
さて、このわんこさん、すでに6歳なんですが、はたして誤食は今回が初めてだったのか、それともこれまでは症状がなく気づかなかっただけで今までもやっていたのか。
誤食事故を防ぐためには、今後の行動管理も非常に重要です。
また、何かを食べたと思われるときや、動物の様子がおかしい時は迷わず病院までご相談ください。