膀胱結石
すっかり更新が滞りがちのブログです。m(_ _)m
昨年から今年の年越しを挟んで、緊急と予防的手術をのぞいた手術はいずれも膀胱結石の手術でした。
12月に手術したのはヨーキーの男の子。
頻尿と血尿を訴えての来院。いわゆる「膀胱炎」ですが、雄の場合は感染性(細菌が関係する)のものはあまり多くはありません。
最も多いのは、
「膀胱結石」や「尿道結石」
などが原因のものが圧倒的です。
早速レントゲンをとったところ・・・・
膀胱と尿道内に結石が確認できます。
数日後、結石を取り除く手術を行いました。
尿道内の結石を膀胱内に押し戻してから膀胱を切開して石を取り除きます。
お腹の中から膀胱だけを取り出し、切開して石を取り除きます。
切開した部分を縫合。
お腹も縫い合わせて手術終了。
取り出した結石です。
続いては年明けにやはり血尿ということで来院されたトイ・プードルの男の子。
レントゲンを撮ったところやはり・・・・
膀胱内に結石と思われる影が。
超音波検査も行い、膀胱内に結石を確認。
数日後、手術を行いました。
取り出した石がこちら。
どちらのケースでも、取り出した結石の成分分析を行なって、再発予防の参考にします。
今回の二匹の結石はご覧のように、外観上とても良く似ていました。
後の症例の子はまだ分析結果が出ていませんが、おそらくシュウ酸カルシウムというタイプと思われます。
犬や猫の膀胱結石で大半を占めるのが、
・ストラバイト
・シュウ酸カルシウム
の2つです。
ストラバイトというタイプのものは、溶解させることが可能なため、結石の状況によっては食事や内服薬などにより内科的な治療が可能です。
しかし、今回の症例のような、シュウ酸カルシウムは内科的に溶解させることができません。
特に雄犬には、
「陰茎骨」
という骨があるため、ここに結石が引っかかると排尿できなくなり命に関わります。
また今回の2匹のケースでは、今回が初めての症状だったことや結石の数も少なかったことから膀胱切開による結石の摘出手術を行いました。
以前紹介したたくさんの結石がすでに陰茎骨に詰まってしまっている場合や、偏食のため食事の変更が困難な場合などでは、違う手術を検討します。
※実際にこの2例の少し前に、尿道造ろの適応となった犬がいました。
単に、
「膀胱炎」
と言っても、犬、猫、オス、メス、で原因も対処法も異なります。
うまく排尿できないようなケースでは緊急性が高い事もありますので、気になる症状がある場合は病院までご相談ください。