抜歯手術
初の症例ブログです。
本日は、豚骨を与えていて奥歯が割れてしまった雑種犬(25kg)の抜歯をしました。
見方を変えれば、歯が割れてしまうぐらい頑丈な根っこを持った臼歯(奥歯)なので、抜くのも一苦労です。
歯肉部分を一部切開して、歯からはがします。そうすると歯槽骨といわれる歯を固定している薄い骨が出てくるためこれを高速ドリルで削ります。
今回抜歯する歯は「第4前臼歯」といって2番目に大きな歯です。根っこが3本になっているため歯をダイヤモンドカッターで2分割します。
分割した部分に器具を滑り込ませてテコの原理を利用しながら慎重に歯を脱臼させて抜き取ります。
抜き取った後に、再度歯槽骨を削り滑らかにした後、吸収糸で歯肉を縫合して終了。
この作業を両方の上顎第4前臼歯に行いました。
今回、歯が割れてしまった原因は日常的におやつとして与えていた豚骨でした。
犬や猫など肉食動物の歯は、本来肉を切り裂くための歯なので固いものを齧るのには適していません。
丈夫そうに見える歯でも意外と簡単に割れてしまいます。
ちょうど包丁が刃こぼれを起こすような感じでしょうか。
今回のわんちゃんも飼い主さんが気づいて連れてきたのと反対側の歯も既に割れてしまって歯の内部に感染を起こしている兆候がありました。このまま放置すれば歯槽膿漏や歯周病へ移行したことでしょう。
割れ方が軽度であれば表面を修復する治療法もありますが、歯髄(歯の神経や血管が通っている部分)まで露出していると抜歯しなければいけません。
固いおやつを与えている方はすぐにやめていただくことをお薦めします。
(今回は人手がなく、術中の写真を撮れませんでした。)