昨夜のセミナー

昨夜、火曜の夜に毎月開かれている眼科症例カンファレンスに3ヶ月ぶりに参加してきました。
当院休診日の夜ということで、参加しやすい数少ないセミナーです。しかも私の好きな眼科学。
このセミナーの特徴はなんといっても実際の症例を治療経過を追って紹介しながら、問題点や反省点までを含めて講演をしていただけるところです。
昨夜は、
「猫の角膜黒色壊死症」
「ダックスフントの網膜疾患」

についてでした。
特に角膜黒色壊死症については、非常に興味深いデータが示されました。
これまで、猫の角膜黒色壊死症はヘルペスウイルス−1が関与している、というのが一般的な考え方でしたが、近年PCRと呼ばれる遺伝子診断法を利用しての診断ができるようになりました。
PCR検査により、角膜黒色壊死症にかかっていてもヘルペスウイルスが検出される割合が非常に少ないことがわかってきました。
もちろん、ヘルペスウイルスというのは、人でも潜伏感染といって普段は神経節などに潜んでいるため、検出されない≠ウイルスがいない、と単純に考えることができるわけではないのですが、抗ウイルス治療を行わなくてもこの疾患の改善が図れるということは非常に明るい材料です。
一般的に、ウイルスを直接退治するというのは非常に困難です。
例えば、人が風邪を引いたとき、簡単に風邪の原因ウイルスを退治することができるなら苦労はしません。抗生物質は細菌感染に効果を示す薬ですので、とうぜんウイルスには無効です。
眼の話に戻ると、ウイルスが関与しているかもしれない角膜黒色壊死症でも、直接原因に対して治療することがなくても、病気が起きているところの環境を整えてあげるとなおる確率が高くなるということでした。
猫の角膜・結膜炎は非常に多く、また治療が難しい疾患でもあるので、今後の治療に生かしていきます。