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稲城大橋動物病院長ブログ|稲城大橋動物病院

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2010年3月アーカイブ

手段と目的

4月から新しく看護師2名が病院に仲間入りします。
すでに何度か実習という形で来てもらっていますが、私が必ず指導することがあります。

初めは動物の看護といってもまだまだ経験も知識もなく任せることはできないため掃除や雑用といった仕事が主になるのですが、掃除をしているときに必ずこういうことを話します。

「モップをかけたり、掃除機をかけることが掃除の目的ではないよ。きれいにするための手段としてモップや掃除機を使っているんだから、そこを勘違いしてはいけないよ。」

おわかりいただけるでしょうか。

黙って掃除の仕方を見ていると、モップをかけることが目的になっていたり、掃除機をかけることが目的になっていることがほとんどです。きれいにすることが目的であることを忘れているので、モップで拭いても落ちない汚れはそのまま、掃除機をかけたところにゴミが落ちていても気づかず?です。これでは本末転倒ですね。

手段と目的を混同しないこと

たかが掃除、されど掃除です。
この気持ちの持ち方はとても大事なことだと私は考えています。
動物に関わる仕事をしてく上で、この部分をなおざりにすることがあってはいけません。

私たちの仕事は普通は動物の病気を治すことですが、時にはそうでないケースが起こります。
実は病気を治すことは手段であって本当の目的ではありません。
本当の目的は、動物と飼い主が幸せに暮らすこと、です。
その手段として病気を治すとか、予防をするとかが存在するのだと思います。
もちろん、多くの場合は病気を治すこと=幸せに暮らすことが成り立ちます。
しかし、時にはそうでないケースが生じます。そのときに何が何でも入院して治療することは,誰を幸せにするのでしょうか?

私自身はいつもこのことを忘れないように動物とその飼い主さんに接するよう気をつけています。

初めて社会人として働き始める2人には、いろいろ覚えることもあって大変ですが、このことだけは忘れず仕事をしていってもらいたいものです。

彼岸参拝

今日はお昼休みの時間を利用して、近くの動物霊園へお彼岸のお参りに行ってきました。

こちらには、昨年の4月に病院前にキャリーごと捨てられていた"まるちゃん"が眠っています。
保護したときに後肢が麻痺していて動かない状態のオス猫で、その後肺に腫瘍があることがわかり、9月末に星になりました。
合同葬というかたちでこちらの霊園で供養して頂きました。

実は動物霊園には初めて伺いました。
そういうこともあって、霊園の方に霊園の施設を紹介して頂きました。
予想以上の立派な施設で少し驚きましたが、こちらなら安心できそうです。

焼香をして持参したお花を供えさせてもらい、午後の診察時間に間に合うように失礼しました。

PS.
偶然にも霊園で、私の師匠である先生と数年ぶりの再会をしました。おたがい、びっくりでした。(苦笑)

petowaに紹介されました

「ペットの口コミポータルサイト petowa」で、私と当院の看護師、祝田さんのインタビューが掲載されました。

こちらのサイトの相談コーナーで一般の方からのご相談にお答えするお手伝いをしています。
よかったら一度見てみて下さい。

体温計

診察室で使う道具で、もっとも使用頻度が高いものといえば、聴診器と体温計です。

今回はその体温計のご紹介。

DSCF5610.jpg
一見、特に変哲のないデジタル体温計です。
しかし、実はこれ、動物専用のデジタル体温計です。
今時、ドラッグストアにいけば人用の体温計なら数百円で購入できますが、これはなんと2千円以上(三千円に近いかも・・・)します。

なぜわざわざそんな高いものを使っているか?

デジタルの短時間で測れる体温計というのは短時間の温度変化をコンピューターで予測して、その体温を表示しています。
いわゆる平熱が2度以上も異なる犬や猫で、人用の予測プログラムが組み込まれた体温計を使っての予測では不正確になってしまいます。

実はこのことは、ある腫瘍専門医の先生の講義で教わりました。
腫瘍治療中は副作用の早期発見のために、家庭での体温測定が非常に大事なのですが、そのときにこれをお薦めしているそうです。

その話を聞いて1年半ほど前から使用しています。
使い捨てのプローブカバー(写真下側)を用いることで違う個体にも気持ちよく清潔に使えます。

平熱の子ならわずか10秒ほどで測定完了です。

ちょっとしたこだわり道具のご紹介でした。

季節の変わり目

3月に入り、暖かいかと思えば冷え込んだり、日中の寒暖の差も大きく、体調を崩しやすい季節です。

そういう私も元々の花粉症に重なって、先月からの風邪が長引いています。おかげで鼻が利きません(涙)。早く治さないと診察にも影響してしまいます。
うちの診察方針、
動物を良くみて(見・診・看・観)、きき(聞・聴・訊)、体に触れ、匂いを嗅ぎ、そして飼い主さんと充分な対話を行いながら
の"嗅ぐ"ができない状態なので・・・。

ここ数日でずいぶん良くはなってきましたがもう一歩という感じです。

病院は、春の狂犬病シーズンが始まり、少しずつ忙しくなりつつあります。


メニわんセミナー

本日は臨時休診をいただいて行く、今年度最後のセミナーに参加してきました。

今日のセミナーは、
「メニわんどうぶつ眼科セミナー」
です。
眼科学は私の師匠が得意だったこともあり、いつの頃からか興味を持ち始め、自分の中ではかなりのウェートを占めている分野です。

今日、明日の二日間、横浜で開催されるのですが、今年は今日一日のみの参加です。昨年までは、火曜・水曜の開催だったので休診日を利用して一日お休みをいただいてフル参加ができたのですが、今年からは水曜・木曜の開催になってしまいました。

今日のお題は、「緑内障」です。
緑内障というのは、眼の中の水(=房水)が排泄できなくなるために眼圧が上昇し、様々な傷害を起こし失明に至る眼科の中の救急疾患です。

人と違って動物は自覚症状を訴える頃にはかなり病状が進んでいることが多く、視覚の確保がなかなか難しいのが現実です。
特に、はじめは充血や羞明(しゅうめい=目をしょぼしょぼさせるような行為)といった、眼科領域ではごくありふれた症状を示します。

緑内障の診断には必ず眼圧測定が必要です。
tonopen.jpg

動物病院で眼科の診察をする場合には、最低限なければならない機器の一つです。
これを使わず眼科を診るというのは、聴診器を使わず循環器を診るのと同じぐらい大事な道具です。

緑内障という病気は、特に犬では遺伝的になりやすい犬種が報告されています。
日本では圧倒的に、柴犬が多く、ついでシーズー、アメリカン&イングリッシュ・コッカースパニエル、ビーグル、などです。最近流行?のチワワも多いそうです。

これらの犬種は特に、充血や羞明などの症状が見られた場合はまず眼科の診察ができる(最低限眼圧計がある)病院を受診することが大事です。
眼圧が上昇した状態が3日続くと、失明の危険性が高くなります。

当院では眼圧計はもちろん、眼底検査などを行うための検査室も用意しています。
白内障や、緑内障の治療のための特別な外科手術が必要な場合は眼科専門医と連携をとって、ベストな治療ができるよう配慮しています。

尿検査のすすめ

ペットの三大疾患というのがあります。
「心臓病」 「腎臓病」 「腫瘍」です。

一般的には心臓病は小型犬に多くみられ、腎臓病は猫で多くみられます。
腫瘍の話はまた別の機会に触れるとして、心臓病・腎臓病に共通するのはどちらも治療することが難しい病気が多いということです。

そこで今回は腎臓病早期発見のための"尿検査のすすめ"です。

腎臓は主に体の老廃物を体外に捨て、水分やミネラルなどの必要な成分を再吸収する働きをしています。
ところが腎臓は非常に優秀な臓器のため、多少機能が弱ってきても通常の検査などに現れるような変化を見せません。血液検査では、腎機能の75%を喪失して初めて異常が現れます。
特に猫の場合は犬に比べると病院への来院の機会が少なく、症状が現れてから、ということが少なくありません。元気な猫ちゃんだと採血するのも一苦労したりすることもありどうしても病気の発見が遅くなりがちです。

そこで、尿検査です。
厳密な尿検査には汚染のない尿が理想的ですが、もっとも腎機能の指標となる「尿比重」検査の場合は自然排尿した尿でも十分検査が可能です。

尿比重というのは、腎臓の濾過・吸収機能の指標となるもので、約50%の機能低下で尿比重の低下(=尿が薄くなる)が認められます。血液検査よりも早期に診断が可能な訳です。

この尿比重の検査に用いるのが屈折計といわれるものです。
refmeter.jpgのサムネール画像
左がこれまで日本で一般的に使われ来ているもので、人用の屈折計です。
右は海外で使われている動物(犬猫)専用のものです。

重要なのはここからなのですが、この人用の屈折計では動物の正確な尿比重が計れないことがわかってきました。本来の数値より高く出てしまうため、肝心な尿比重の低下の発見が遅れる可能性があるのです。

そこで当院でも約1年前に動物用の屈折計を入手し、より正確な尿比重を計れるようにしました。
ちなみに、動物専用の屈折計ですが、よくみると「Made In Japan」なんです。
refmeter2.jpg
このタイプの屈折計は今も日本では販売されていませんが、デジタルタイプの尿比重計が同じメーカーから国内で販売されるようになりました。今後、専用の比重計がもっと動物病院でも普及することを願います。

当然ながら、尿比重というのは日によっての変動があるものなので定期的に調べてデータを蓄積していくことで病気の早期発見が可能になります。

普段の健康管理の第一歩として、体重測定と尿検査をお薦めします。

抜歯手術

初の症例ブログです。

本日は、豚骨を与えていて奥歯が割れてしまった雑種犬(25kg)の抜歯をしました。
見方を変えれば、歯が割れてしまうぐらい頑丈な根っこを持った臼歯(奥歯)なので、抜くのも一苦労です。

歯肉部分を一部切開して、歯からはがします。そうすると歯槽骨といわれる歯を固定している薄い骨が出てくるためこれを高速ドリルで削ります。
今回抜歯する歯は「第4前臼歯」といって2番目に大きな歯です。根っこが3本になっているため歯をダイヤモンドカッターで2分割します。
分割した部分に器具を滑り込ませてテコの原理を利用しながら慎重に歯を脱臼させて抜き取ります。

抜き取った後に、再度歯槽骨を削り滑らかにした後、吸収糸で歯肉を縫合して終了。
この作業を両方の上顎第4前臼歯に行いました。

今回、歯が割れてしまった原因は日常的におやつとして与えていた豚骨でした。
犬や猫など肉食動物の歯は、本来肉を切り裂くための歯なので固いものを齧るのには適していません。
丈夫そうに見える歯でも意外と簡単に割れてしまいます。
ちょうど包丁が刃こぼれを起こすような感じでしょうか。

今回のわんちゃんも飼い主さんが気づいて連れてきたのと反対側の歯も既に割れてしまって歯の内部に感染を起こしている兆候がありました。このまま放置すれば歯槽膿漏や歯周病へ移行したことでしょう。

割れ方が軽度であれば表面を修復する治療法もありますが、歯髄(歯の神経や血管が通っている部分)まで露出していると抜歯しなければいけません。

固いおやつを与えている方はすぐにやめていただくことをお薦めします。
(今回は人手がなく、術中の写真を撮れませんでした。)