家出猫騒動顛末記
先日、一本の電話がありました。
「うちのLが行方不明になっちゃったよ〜。」
Lちゃんはある施設のゴミ置き場の中で、袋に入れて捨てられていた現在9ヶ月の猫です。
今の飼い主さんに保護され、元気に育っていました。
その子がちょっと飼い主さんが目を離した隙に、マンションのエレベーターに乗り込んで出かけてしまったようです。
この子は普段からまるで犬のようにリードをつけて飼い主さんと一緒にお散歩をしている子でした。だからか、外に出ることには小さい頃から慣れっこで、その様子がかわいいのでご近所でも有名な猫になっていました。
飼い主さんなりに近所を探しまわり、ペット探偵?なるものもお願いし、半日以上探しまわったけれど見つからず半ばあきらめモード。
「とにかくポスターを作って近所にはらせてもらいましょう。」
ということで、病院で迷い猫のポスターを作成。
迷子の猫を探す場合、自宅を中心にして近いところから探していきます。猫はその性質上いきなり遠くまで行ってしまうことはありません。これは代診時代に、ある有名なペット探偵の方に教わりました。
ポスター掲示の翌日。
すぐ近所の自動車工場で従業員さんがこの子と遊んでいたとの情報が。
Lちゃんが飼われているのは4車線の大きな道路沿いのマンションです。とにかく、事故などに遭っていないことがわかり一安心。飼い主さんもあきらめモードから一転、仕事の合間を縫って寝る間も惜しんで探しまわったようです。
飼い主さんは夜勤もある変則なお仕事でした。
行方不明から丸4日たった夜、夜勤をしていた飼い主さんに電話が入ります。
マンションの大家さんからです。
「Lが帰ってきたよ!!エレベータの前に座ってるよ!!」
「ホント〜!!大家さん、合鍵あるでしょ。それでうちに入れてやって!!」
かくして、家出猫のL、5日間の放浪生活を終えて無事帰宅しました。
翌日、帰宅の報告を頂きました。僭越ながら私の一言。
「自分で帰ってくるなんて、○○さん、Lは思ってたより頭が良かったね。」
帰ってきて丸一日は死んだように眠っていたそうです。体重も1割近く減っていました。
その翌日、診察に来てもらいましたが、いつもの彼に戻っていました。
あ〜、めでたしめでたし。
※実話を元にしていますが、一部独断で脚色しております。