8/22・セミナー

22日の日曜日は、診察を12時で終わらせていただき横浜で開催されたセミナーに出席してきました。
今回のお題は、
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(画像は講師の先生のブログより)
この講師の先生は、私が知る限りでは日本で3本の指に入るほどのセミナーの講演をこなし、私たち末端の獣医師にいろいろな情報を提供していただいているありがたい先生です。
今回のセミナーの特色は実際の音が聞けることです。また音を聞いて出席者の獣医師がクイズ形式の設問に答え、その場で回答が集計されます。
“聴診”という検査方法はまずどこの病院でも間違いなく一番実施頻度が多い検査です。
私自身は診察台に載った動物の95%は聴診を行っています。
しかしながら、聴診というのはもっとも教わることが難しい検査方法でもあります。
対象が”音”であるため、その判断は人によって変わってくるからです。
このセミナーの第1問目にある犬の心音を聞いて雑音があるか否か、という質問が出されました。
回答は「雑音はない」にもかかわらず、約40%が「雑音がある」と回答されました。
先生によると先に行われた2会場でもほぼ同様の比率だったそうです。
また、大学病院へ紹介されてくる症例で「心雑音の精査」を目的として連れてこられた動物の約40%は雑音がないという結果だそうです。
一般の方が聞くと驚くべきことかもしれませんが、実際は「聴診を習う」機会はほとんどありません。特に私が卒業した大学では大動物(牛などの産業動物)が主体で犬や猫については教わった記憶がありません。
なので働き始めてからいくつかの聴診に関する書籍や聴診音の入ったCDを購入して独学してきましたが、独学というのには限界があります。
今回のセミナーで第一線の循環器内科医の先生による解説を聞くことができ、今までもやもやしていた部分がいくつかすっきり解消されました。
特に呼吸器音の解釈については非常に分かりやすい解説をしていただきました。
また、先生の言葉の中で「飼い主の立場で診察すること」を非常に強調されていたのが印象に残りました。利尿薬の例をあげて、「夜に強力な利尿薬を処方する(している)なら、必ず飼い主さんが眠れているか、動物が眠れているか問診しなさい」と話されていました。
利尿薬の効果が強いと尿の回数が増えるため、何度も排泄に外に出したり、尿の始末をしなければならなくなるということを想像しなさい、という戒めを含めた言葉でした。
私自身も飼い主さんの身になって考えるよう努力していますが、今一度このことを頭に入れて診察に望まなければいけないなと感じました。