腸閉塞〜猫〜

すっかりサボってしまい、前回から5ヶ月も経ってしまいました。
今回から数回の予定で、
「消化管内異物」
の症例をご紹介していきます。
※手術時の写真がありますのでご注意ください。
はじめにご紹介するのは、8ヶ月齢の猫さんです。
頻回の嘔吐のため近くの動物病院を受診し、バリウム検査を行ったところ異物摂取が疑われたため、当院に内視鏡による検査の依頼がありました。
前日にバリウム検査を受けていたわけですが、来院時に改めてレントゲン検査をさせていただくと、
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1日経っているにもかかわらず、胃の中にバリウムがたくさん残っています。
また、小腸が全体的にガスを含んで拡張しているのが分かりました。
超音波検査も行い、腸管のうっ滞(=内容物が滞っている様子)が確認できました。
8ヶ月齢の猫といえば本来なら元気な盛りですが、かなり具合が悪そうです。
以上の検査結果と症状から腸閉塞の可能性を考え、内視鏡検査だけでは腸全体を確認できないため、その日の夜に開腹手術をすることになりました。
開腹してみると、
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丸で囲んだ部分がガスを含んで充血しています。
また、矢印で指したところには何かが詰まっているのが確認できました。
この部分を切開してみると、
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毛玉様のものが詰まっていました。
これを取り出して縫合したあと、お腹の中(胃腸)を調べて、他になにもないことを確認して手術を終えました。
取り出したものはこれです。
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毛の塊のようなものですが、あとで飼い主さんにお見せして聞いてみると、以前に与えていたおもちゃかもしれないということでした。
2cm弱の小さいものでしたが、運が悪いとこれぐらいのものでも詰まってしまいます。
猫にはグルーミングという習性があり、自分の体をなめて綺麗にします。
その際、大量の毛を一度に摂取したり、胃の中でどんどん毛玉が大きくなっていって、運悪く腸閉塞を起こしてしまうことがあります。
また犬も猫も草を食べる習性がありますが、度が過ぎるとこれも胃の出口を塞いだり、腸閉塞の原因になることがあります。
ペットショップなどで売っている猫用のおもちゃの中には、我々から見るととても危険性のあるものが少なくない印象です。
小さいネズミの形のものや、天然の動物の毛を使ったもので比較的簡単に毛がむしれるようなものは、今回のような事故の原因になります。
猫をおもちゃで遊ばせる際は、
飲み込む危険性がないかよく考える
どんなおもちゃを与えているのか把握しておく
・万一、与えていたおもちゃが無くなったら飲み込んだかもしれないと考え病院ご相談いただく
以上のことを認識しておいてください。
最後に、一度異物摂取をやった子は、またやってしまうことが非常に多いのでくれぐれも注意してください。