ひも状異物〜猫〜
またしても更新が滞りました。
ようやく「消化管内異物」の2回目です。
今回も猫の症例です。
この子も10ヶ月齢の若い猫です。
※手術画像が出てきます。ご注意ください。
症状はやはり頻回の嘔吐と、元気・食欲の減退。
来院当初、レントゲンや超音波検査ではっきりとした所見がなく、ご相談の結果対症療法(症状を抑える治療)を行いましたが改善なく、翌日改めて検査を行ったところ、腸管の運動性の低下とうっ滞(液体がたまっている様子)などが確認されたため、異物摂取を疑い試験的な開腹手術をさせていただきました。
開腹してみると、腸管が真っ赤に炎症を起こし引きつれているのが確認できます。
これは
「ひも状異物」
摂取の典型的な所見です。
一部を切開してみると、
なにやら線維でできたひも状のものがでてきました。
この後、腸を数カ所を切開してすべてのひも状異物を取り出しました。
でてきたものがこれです。
格子状の長い線維でした。
手術後飼い主さんにこの現物を見せて伺ったところ、飼い主さんが縫製の仕事で使っている材料の切れ端だということでした。
診察の際、この猫ちゃんはダンボールのようなものをかじることはあるが、ひものようなもので遊んだりすることはないとおしゃっていたのですが、確かにこういうものを、
“ひも”
とは認識しないかもしれません。
ひも状異物は、腸管をひきつらせて激しい炎症を起こし早急に手術をしなければ腸を切断してしまいます。
そうなれば、大変危険な状況になります。
今回、この猫ちゃんは手術後すぐに食欲も回復し元気に退院することができました。