猫の尿路閉塞

「猫が便秘みたいで・・・・。」
飼い主さんがこう話しながら来院された症例。
3歳のオス猫で、ちょっとぽっちゃり体型。
飼育状況や、これまでの病歴などを聞きながら体を触ります。
お腹にまん丸の固いものが触れます。
状況を説明し、レントゲン写真を撮らせていただきました。
image2m.jpg
赤矢印で囲ったところがおしっこが出ずにパンパンになった膀胱です。
通常の2倍以上は溜まっている感じです。
触診で触ったのはこの部分。
便秘ではなく、尿路閉塞でした。
お話を聞くと、どうやら「便秘」の症状が出始めたのは1週間ほど前とのこと。
レントゲンでは全く便は溜まっていませんので、おそらくその頃からうまく排尿できていなかった可能性があります。
そうなると心配なのは、
「急性腎不全」
です。
血液検査の結果からやはり腎不全と診断されたため、尿を抜く処置とカテーテルという管をつけ排尿ルートを確保するとともに、点滴による入院治療を開始します。
幸い、3日間の入院と自宅療養後、血液検査上の数値は正常化しました。
まだ3歳と若いため、今後は食事療法を続けることになります。
実はこの子、1ヶ月ほど前にも、「便秘」という主訴(飼い主さんが告げる主な症状)で、往診を受けたそうです。
その時は幸い、往診治療後に改善したそうですが、その時の先生の見立ては「便秘」のままだったとか。。。
若い猫では便秘はどちらかと言うと稀な疾患です。
我々獣医師が診させてもらうのは、言葉を話せない動物たちです。
なので、飼い主様からの情報は非常に重要です。むしろ、それなしにはわからないことばかりです。
ただし、飼い主様からの言葉をそのまま受け取る事は時に誤解を生じます。
ですので、飼い主様が話してくれるお話の内容をいろんな角度から考え、いかに引き出すかも獣医師の大事な技術と言えます。