皮膚組織球腫

ワクチンの接種に来られた時に、少し前から鼻の脇にできものができている、というワンコ。
見てみると、
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鼻のすぐ脇に赤く腫れたように丸いできものがあります。
前回のブログでお話したように、皮膚に出来た出来物にはまず、針をさす検査を行うのがセオリーです。
当然、この子の場合もそれを考慮したのですがこのような場所では痛がったり、場合によっては噛み付かれたりして人も動物も危険な場合が考えられます。
かといって麻酔をかけてというのも、飼い主さんのお財布に負担がかかります。
そこで、まずは表面にガラスのスライドをぺたっと張りつけてそれで細胞がとれてこないか見てみることにしました。
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予想以上に細胞がとれていました。
まず院内で私が参考書を見ながら鑑別し、念のため病理専門医にスライドを提出して診断してもらいます。
その結果、
犬の皮膚組織球腫
でほぼ間違いないという結果でした。
この、組織球腫というのは、犬の皮膚にできるポピュラーな良性腫瘍です。
基本的には何もせずそのままで、1ヶ月〜3ヶ月程度で消失してくれます。むしろ、腫れているからといって消炎作用のあるステロイドを使うとかえって消えるのが遅れてしまいます。
検査結果と今後の経過の予想をお話して、結局この子が次に診察に来たのは1年後でした。
もちろん、鼻のところはすっかりきれいに跡形もなくきれになっていまいた。