形質細胞腫

前回のワンコととても似たような症例。
この子は下唇のところにプクッと1cm弱のできものができているとのことで来院された、8歳のワンコです。
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(この写真は麻酔時のものです)
やはりまずは針をさして細胞を見たいところですが、前回の症例同様安全に検査するために少し鎮静剤や麻酔が必要な場所です。
飼い主さんとお話をし、注意深く観察をしていましたが2ヶ月ほどたっても変化が無いため、麻酔下での切除をすることになりました。
麻酔にかかったところで、まず針をさす検査=細胞診を行いました。
この時にとれてくる細胞形態によっては治療方針が大きく違ってくる可能性があるためです。
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わんこには眠ったままで少し待っていてもらい、細胞を見てみると、大きさも形も同じような細胞がたくさん取れています。
細胞の良性・悪性を判断するもとになる、”悪性所見“がないか観察してみましたが、特に該当しないため、今回はできものだけを切り取るように切除することとしました。
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切除して縫合したところです。
少し、唇が引っ張られて歯肉が見えていますが、普通にしていればほとんど気になりません。
切り取ったできものは、念の為に病理検査に出して、専門医の先生にみていただきました。
結果は、
“形質細胞腫”
皮膚にできる良性腫瘍の代表的なものです。
ただし、前回の、”組織球腫“とちがって、そのまま放置していても無くなってくれることはありません。
その後しばらくしてから切除したところの様子を見せていただくと、唇のつっぱりもほぼなくなり、綺麗になっていました。
今回のケースでは、中年齢の子にできた出来物であったため、早めの検査をお薦めしましたが、麻酔をかけることに抵抗があるということで、しばらく経過観察という対応となりました。
幸い、良性腫瘍でしたので事なきを得ましたが、悪性のものの場合はやはりできるかぎり早めに診断・対処するにこしたことはありません。
麻酔科での処置は、麻酔管理をしっかり行えば、普通に暮らすことができている元気な動物ならまず安全に行うことができます。