尿検査のすすめ

ペットの三大疾患というのがあります。
「心臓病」 「腎臓病」 「腫瘍」です。
一般的には心臓病は小型犬に多くみられ、腎臓病は猫で多くみられます。
腫瘍の話はまた別の機会に触れるとして、心臓病・腎臓病に共通するのはどちらも治療することが難しい病気が多いということです。
そこで今回は腎臓病早期発見のための”尿検査のすすめ“です。
腎臓は主に体の老廃物を体外に捨て、水分やミネラルなどの必要な成分を再吸収する働きをしています。
ところが腎臓は非常に優秀な臓器のため、多少機能が弱ってきても通常の検査などに現れるような変化を見せません。血液検査では、腎機能の75%を喪失して初めて異常が現れます。
特に猫の場合は犬に比べると病院への来院の機会が少なく、症状が現れてから、ということが少なくありません。元気な猫ちゃんだと採血するのも一苦労したりすることもありどうしても病気の発見が遅くなりがちです。
そこで、尿検査です。
厳密な尿検査には汚染のない尿が理想的ですが、もっとも腎機能の指標となる「尿比重」検査の場合は自然排尿した尿でも十分検査が可能です。
尿比重というのは、腎臓の濾過・吸収機能の指標となるもので、約50%の機能低下で尿比重の低下(=尿が薄くなる)が認められます。血液検査よりも早期に診断が可能な訳です。
この尿比重の検査に用いるのが屈折計といわれるものです。
refmeter.jpgのサムネール画像
左がこれまで日本で一般的に使われ来ているもので、人用の屈折計です。
右は海外で使われている動物(犬猫)専用のものです。
重要なのはここからなのですが、この人用の屈折計では動物の正確な尿比重が計れないことがわかってきました。本来の数値より高く出てしまうため、肝心な尿比重の低下の発見が遅れる可能性があるのです。
そこで当院でも約1年前に動物用の屈折計を入手し、より正確な尿比重を計れるようにしました。
ちなみに、動物専用の屈折計ですが、よくみると「Made In Japan」なんです。
refmeter2.jpg
このタイプの屈折計は今も日本では販売されていませんが、デジタルタイプの尿比重計が同じメーカーから国内で販売されるようになりました。今後、専用の比重計がもっと動物病院でも普及することを願います。
当然ながら、尿比重というのは日によっての変動があるものなので定期的に調べてデータを蓄積していくことで病気の早期発見が可能になります。
普段の健康管理の第一歩として、体重測定と尿検査をお薦めします。